ワクチン開発のプラットフォーム
ワクチン製造のための戦略はこの数十年間で進化を遂げてきました。 遺伝子組換え製造などの新たな手法は、従来の技術を補完するものです。 不活化や弱毒生ワクチンの生産といった従来の方法はいくつかの疾患には有効であることが実証されていますが、その他に対する効果は限られているかもしれません。遺伝子組換えという戦略は、これまで対応できなかった適応症に対するワクチン開発の可能性を開きました。現在では、ワクチン開発者の皆様にご利用いただける多種多様なプラットフォームがあります:
- 不活化、弱毒生ワクチンなど、十分な実績があるプラットフォーム
- 抗原を産生させる遺伝子組換えタンパク質ワクチン(別名、遺伝子組換えサブユニットワクチン)
- 生体内で抗原を産生できるようにするため、患者体内に遺伝子配列を運ぶことができるウイルスベクターワクチンと核酸ワクチン(mRNA、DNAプラスミドなど)
ザルトリウスはワクチン業界のパートナーとして、これらのプラットフォームを用いたワクチン開発のためのソリューションの提供に取り組んでいます。
当社が提供しているワクチン開発のプラットフォーム
ウイルスワクチン
ウイルスワクチンには不活化ウイルスワクチンと弱毒化ウイルスワクチンがあります。いずれも従来の手法によるもので、病因ウイルスを同定し、バイオリアクター内で生産して精製します。この種の戦略はこれまで多数の疾患への利用に成功してきました。現在、ウイルス性疾患に対して使われているワクチンの多くはこの戦略を使用しています。
ザルトリウスはウイルスワクチンの開発者と製造者のニーズを理解し、ウイルスワクチン製造という課題に立ち向かうためのソリューションが詰まった専用のツールボックスを開発しました。
ウイルスベクターワクチン
ウイルスベクターワクチンはバイオ医薬品のパイプラインの中でも有望視されており、これまで対応できなかった多数の適応症への利用が検討されています。ウイルスベクターワクチン開発の可能性を十分に広げようと、多くのワクチン開発者が、より生産的で、効果が高く、フレキシブルなプロセスをサポートする革新的技術に関心を向けています。
ウイルスベクターの生産と精製に特化した技術が詰まったザルトリウスのツールボックスをご覧ください。 エンベロープベクター、ノンエンベロープベクター、一般的なベクター使用に関する当社の全体的なプロセスの概要をご覧いただきながら、各ステップをクリックすることで、各メーカーがウイルスベクターワクチンを用いるときに直面する課題をご確認いただけます。
mRNAワクチンとpDNA
核酸ワクチンはワクチン業界に変革をもたらす可能性があります。 これらのワクチンとして、患者の体内に注射された後にタンパク質に変換される疾患固有の抗原をコードしている、プラスミドDNAやメッセンジャーRNA分子があります。
いずれのプロセスも従来のワクチンプロセスと比べてシンプルで、費用対効果に優れ、短期間での開発と製造が可能です。一方で、mRNAワクチンは細胞を使用しない比較的新しいプロセスであるため、このプラットフォームのニーズに合わせたソリューションが必要です。
mRNAとpDNA製造の各プロセスで使用される、ザルトリウスのソリューションのラインアップをご覧ください。
遺伝子組換えタンパク質ワクチン
遺伝子組換えタンパク質ワクチンは、遺伝子組換えサブユニットとも呼ばれ、遺伝子組換えDNA技術を用いて作成したウイルスや細菌抗原からできています。この種のワクチンは病原体全体を製造する必要がないため安全であると考えられています。また、業界内に広く定着しています。
遺伝子組換えタンパク質ワクチン製造のサポートに伴う課題を克服するには、使用できる発現系が多様であることが重要です。細菌、酵母、昆虫細胞、哺乳動物細胞、あるいは植物さえも発現系となります。抗原は、単純なタンパク質の場合も、ウイルス様粒子やナノ粒子など比較的複雑な構造をもつ場合もあります。